ベイトリールの最適なブレーキセッティング方法
はじめに
前提として、リール側はノンブレーキですべてサミングでコントロールすることは考えていません。
月に数回程度釣りに行くサンデーアングラー向けの内容になっています。
それぞれのブレーキタイプについて説明してから、目的別のブレーキ設定について説明します。
メカニカル
ほとんどのベイトリールに搭載されているのがメカニカルブレーキです。
メインブレーキである遠心力ブレーキやマグネットブレーキを補助する役割です。
特徴。
- ネジを締めると強くなる
- 常時掛かる
- 強くするとハンドルを回すのが重くなる
飛距離を出すためのベストなセッティングは、スプールが左右にカタカタしないギリギリのところまで緩めると飛距離が出ます。
たまに、メカニカルユルユルでスプールが左右にカタカタしている設定の人がいますが、キャストしてラインが出ている最中にスプールが左右にぶれて回転が安定せず思ったほど飛距離がでなくなります。
逆にきつく締めてしまうと、せっかく高性能なスムーズに回転するベアリングを入れていても回転を殺してしまうため、ベアリングの性能を殺してしまいます。
ただし、少しだけメカニカルを強めにして、クラッチを切ったときにルアーが落ちるか落ちないか程度にしておくと着水後のサミングが不要になるというメリットがあります。
ハンドルが少し重くなるデメリットと夜間や風が強い日などのトラブルが減るメリットとのトレードオフになります。
上達してくれば、メカニカルはスプールがカタカタしない位置に合わせてサミングで調整が良いです。
遠心
主にシマノ社製のベイトリールに採用されている方式です。
スプールに装着された遠心ブロックが遠心力でボディーと接触してブレーキ力を発生する仕組みです。
特徴。
- スプールの回転に合わせて強く効く
- スプールが低速のときはほとんど効いていない
- キャスト後半の伸びが良い
- 水や油が中にはいるとブレーキが不安定になる可能性がある
回転が高いほどより強くなり、回転が低いと殆ど効かなくなる特徴のおかげでキャスト後半の伸びがあります。
マグネットブレーキに比べると飛距離が出やすいのと、キャストの気持ちよさがあります。
ただし、ブレーキ設定は遠心ブロックと呼ばれるパーツを何個有効にするかになり、いちいちベイトリールの蓋を開けて調整しないと行けないので、頻繁にルアーの種類を変更するような釣りの場合は手返しが悪くなります。
最近のシマノ社製のものは外部でブレーキの効きを調整できるようになっているため、少しだけ手間が解消されています。
比較的、比重の高いルアーを投げるのに向いています。
マグネット
主にダイワ社製のベイトリールに採用されている方式です。
スプールの金属とボディーに装着された磁石によって電気的な抵抗を発生させてブレーキを掛けます。
特徴。
- 外部ダイヤルで手軽に調整できる
- 接点がないため水や油の侵入に関係なく安定
- スプールの回転に合わせて強くなる
- スプールが軽い
マグネットブレーキはとにかく安定していて、ルアーに合わせて設定を変更するのが非常に楽です。
飛距離では遠心力ブレーキに少し劣る場合があります。が、遠心力ブレーキのようにスプールにブレーキのためのパーツが付いていないため、スプールが非常に軽くできるメリットがあります。
ベイトフィネスのような軽量ルアーを投げるときにスプールの軽さがメリットになり、軽いルアーの場合は遠心力ブレーキより有利です。
最近のダイワ社製のものはマグネットブレーキと言いつつも、遠心力ブレーキの要素を加えた物があり、スプールの回転によりスプールに装着されたプレートが磁石に近寄ることで回転が早いときほどブレーキを強くして、回転が低いときは殆どブレーキがかからないようなリールもあります。
DC
シマノ社の中級~上級グレードに搭載されているブレーキです。
大雑把にいうとマグネットブレーキの一種かもしれませんが、マグネットの効きをコンピューターで制御しています。
特徴。
- 内部ダイヤルと外部ダイヤルでラインタイプごとに設定
- ブレーキとの接点がないため水、油が侵入しても安定
- スプールに磁石がついているため重い
- スプールの回転中に音が出る
- 電池はついていない
昔はバックラッシュしにくいけど、飛距離が出ないイメージがありました。
現在は、改善されてバックラッシュしにくく、飛距離も出るいい状態になってきています。
仕組み的にはスプールついている磁石を回転させることで発電し、その電気を使ってコンピュータで計算してスプールに負荷をかける仕組みになっています。なので、中に電池は入っていません。
DC 最大のメリットはサミングが着水のときだけで良いという点です。
本気で飛距離を求めるとブレーキをできるだけ緩めて、キャスト前半、中盤、着水時の 3 回サミングが必要になってきますが DC は着水のときだけでバックラッシュしません。
キャスト前半では程よいラインの浮きを維持しつつ徐々にラインの浮き上がりを抑えて行くと言うのが全自動で行われます。
超上級者のキャストに比べればほんの少しだけ、ブレーキ掛けすぎなのかもしれませんが、初心者が DC を使えば簡単に 90 点くらいのキャストが手に入ることになります。
PE ラインを想定したモードも搭載されていますので、遠心やマグネットよりもトラブルが少なく PE ラインでキャストすることができます。
今の所 DC といえばシマノという状態なので、DC を試したかったらシマノ社のものを買うしかないですが一度は使ってみたいリールですね。
トラブルを減らしたい
設定例。
- メカニカル:ルアーがクラッチを切ってロッドを揺すったら落ちる程度まで締める
- メイン:MAX から初めてキャスト中にラインが膨らむか膨らまなないかレベルまで緩める
トラブルを減らす。つまりバックラッシュをしにくい設定です。
キャストする人の技量によってブレーキはどんどん弱くしていけば良いともいます。
スピニングリールに比べてベイトリールは使い手の技量でトラブルが激減しますので、100 回投げても一切トラブらない設定から初めて徐々にブレーキを弱めましょう。
飛距離と安定性のトレードオフです。
最大飛距離を出したい
設定例。
- メカニカル:スプールが左右にカタカタしないギリギリ
- メイン:キャスト前半で少しだけラインが膨らみ徐々に収束するレベル
はじめに書いたとおり、ノーブレーキは想定していませんので。
飛距離を出すことを考えると、メカニカルはこの設定がベストなのでこれ以上はいじりません。
メインの方はどんどん緩めて行けば良いのですが、ナイロン、フロロの場合はキャスト中少しだけスプールからラインが浮いている状態が一番よく飛距離が出ますので、この状態になるように設定しましょう。
ラインが浮きすぎるとリールの本体にラインがぶつかって飛距離が落ちますし、全くラインが浮いていない状態ではブレーキが効きすぎていて飛距離を落としている状態です。
この状態を理解して、サミングで調整するかブレーキで調整するかキャスト技術に合わせて調整してください。
まとめ
遠心ブレーキ、マグネットブレーキ、DC といろいろなブレーキがあります。
種類は多いですが、基本的な考え方はルアーの飛行を邪魔しないブレーキをかけることができればショートキャストでもロングキャストで最適なキャストが可能になります。
スピニングリールに比べると、ベイトリールは考えることが多いですが、うまくコントロールできればスピニングリールにはない気持ち良さとメリットがありますので、是非チャレンジしてみてください。